今回は、金沢の奥座敷として愛される湯涌(ゆわく)温泉へ。竹久夢二が愛し、近年ではアニメ『花咲くいろは』の聖地としても知られるこの地には、歴史の香りと共に、冬の冷たい空気の中で育つ名産品があります。
それが、「湯涌ゆず」です。
この希少なゆずを贅沢に使った、湯上がりに喉を鳴らして飲みたくなる一杯をご提案します。
湯涌の風土が育む「金色の雫」
湯涌温泉の歴史は古く、開湯から1300年。加賀藩の歴代藩主も湯治に訪れたという由緒ある温泉地です。山間に位置するこの場所は、昼夜の寒暖差が激しく、それがゆずの香りをより一層強く、鋭く引き立てます。
湯涌ゆずの特徴は、なんといっても皮の厚さと香りの強さ。
都会の喧騒を離れ、玉泉湖のほとりを歩きながら感じる凛とした空気感。それをそのままグラスに閉じ込めたようなカクテルを構成してみましょう。
本日のレシピ:Yuwaku Highball(湯涌ハイボール)
シンプルだからこそ、素材のポテンシャルがダイレクトに伝わる炭酸系カクテルです。
【材料】
- ジャパニーズ・ウイスキー(軽やかでフルーティーなタイプ):45ml
- 湯涌ゆず 搾り果汁:15ml
- 自家製ゆずシロップ(またはキビ糖):1tsp
- 強炭酸水:適量
- 湯涌ゆずのピール(皮):1片
【作り方】
- 冷やしたタンブラーに氷をたっぷり入れ、ウイスキーとゆず果汁、シロップを加えます。
- 氷と液体をしっかり馴染ませるようにステアします。
- 氷に当てないよう静かに強炭酸水を注ぎ、バースプーンで一回だけ氷を持ち上げます。
- 仕上げに、湯涌ゆずの皮をグラスの上でシュッと絞り、そのまま中へ落とします。
味わいの深掘り:歴史を飲む体験
このカクテルの主役は、ウイスキーの樽香を突き抜けてくるゆずの圧倒的なアロマです。
Bar’s Note
湯涌ゆずは一般的なものより酸味が非常にシャープです。そのため、少量のシロップを加えることで、炭酸の泡と共に香りがパッと花開く「導火線」の役割を果たしてくれます。
ひと口飲めば、喉を通る炭酸の刺激の後に、金沢の深い山の緑と、湯涌の温泉宿から立ち上がる湯気を連想させるはず。それはまさに、夢二が恋人と過ごした「大正ロマン」の儚さと、現代に続く力強い自然の融合です。
結びに
湯涌温泉には「総湯」のすぐそばに、ゆずのお土産が並ぶ小さなお店が軒を連ねています。現地を訪れた際は、ぜひその新鮮な香りを持ち帰ってみてください。
自宅のベランダで、あるいは静かな夜のリビングで。
この「湯涌ハイボール」を傾ければ、そこには金沢の奥座敷の景色が広がっていることでしょう。
今夜も、素敵な一杯を。



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